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さんしょの実コラム

第2回 「消費者の時代」のキーワードは‘‘女性・シニア’’

前回紹介しました経済産業省から4月に発表された「日本の消費者の実像」と題する調査結果のなかで、購買決定力のあると云われる女性層、高年齢層ほど非価格要素を重視すると結論付けています。 この「何を重視して購買を決めるか」の質問の全年代での上位5項目は、上から、「信頼」、「安心」、「低価格」、「安全」、「日本製」となっていて、非価格要素である信頼・安心が低価格を上回っています。この結果から、リーマンショック以降の『低価格がこだわりポイントである』との一般論を経済産業省は結果要旨で明確に否定しています。

この結果をもう少し詳しく見てみると、年代別の違いもですが、同じ年代でも男女差がかなりはっきり出ており、その背景や要因を考えながら数字をみていくと実におもしろいです。20代女性の低価格へのこだわりは67.6%とこの質問にたいする全ての選択項目の、全年代男女別グループの中でトップ2の高い比率になっています。同じ20代でも男性は54.0%と、実に13.6ポイントも開きがあり、男性の低価格にたいするこだわりが一番強いのは、ご想像の通り養育費や住宅ローン世代の40代で、61.6%です。このあたりは、20代女性の非正規雇用者比率の高さや20代での平均年収の男女差、若い女性の流行の品を安くといった購買傾向、40代世帯の家計の厳しさ等を如実に読み取ることができると思います。

こだわりの選択全体トップは、68.1%で60代男性の「信頼できる」に対する数値です。この「信頼できる」の項目は最低の20代男性でも50.6%で、二人に一人はこだわりに選んでおり、最高と最低は17.5ポイント差しかありません。男女差を見ると、女性の全平均は63.4%とどの年代でも信頼に対するこだわりの高さが読み取れます。40~60代の女性は、64.1~66.7と特に高く、この層の低価格の選択率 39.2~49.0と比較してみると、この年代の非価格要素へのこだわりの強さが読み取れます。信頼・安心・安全の選択比率が一番高くなって良さそうな5歳以下の乳幼児がいる層で、その三つよりも低価格の比率が10%以上高く出ていることは、若年層程、雇用・給与の格差が大きくなっていることの表れでしょうか。とても気になります。

こだわりの6番目は「長く愛せる」で、7番目にやっと「高機能」が出てきます。

回答総数3000件の内、4百~8百万年収層が35%という回答母集団は、日本の平均的な姿をかなり表しますので、その大半が機能性や価格より、信頼や安心・安全を基準に購買を決めているということが云えます。


現在のお金の使い道については、必要経費的な支出を抑え、趣味・普段の食事・旅行など生活を楽しむものへの消費傾向が顕著になっています。貯蓄は5番目で、『消費者は消費意欲はあるが、その内容が変化している』と、結果概要でも結論付けており、その典型として、大都市部での車にかけるお金の低さを上げています。逆に旅行や交友にお金をかける傾向は大都市ほど強い結果が出ています。また、上位の趣味と旅行では傾向が異なり、「旅行」が男女とも高年齢層・高世帯収入層に多く、「趣味」は若年層・低世帯年収層に多い傾向が顕著です。


商品の購入プロセス(購入時、購入後、問題発生時)ごとの信頼できる情報源を質問した結果は、購入判断手段については、ネットの価格比較サイト、評判(口コミ)・情報サイト、情報検察サイト等を利用した消費者の情報収集が定着していると結論付けています。

購入後(利用中)は企業の公式サイトが、故障・問題発生時は企業のコールセンター(電話窓口)を利用している傾向が強く、特に女性はどのプロセスでもコールセンターの利用傾向が高くなっているのが特長です。

また、購入後に企業に希望するのは、問合せ窓口があることと、そこでの誠実な対応と同時に、アフターサービスの内容や商品の廃棄方法等の具体的な情報や対応を希望しているのに対して、企業への電話調査から、経営層が重視しているのは、「誠実な消費者対応」や「企業の信頼性」などのイメージを重視しており、その認識の違いを指摘しています。

この認識の違いはカスタマーセンターに従事されている皆さまの方がより切実に感じ取っておられるのではないでしょうか。


この調査では、利用後の自己経験から、企業サイトからの情報収集と口コミサイト等の消費者間評価とどちらをより重視するか、とか、年代・性別でのその情報に対する評価の違いなどの詳細はわかりませんが、今後は、信頼、安心等の非価格要素へのこだわりの強い女性、シニア層への情報提供の仕方やHPの作り方、誘導、サポートの仕方が企業にとって非常に重要になってくることは間違いないとこの調査結果からも私は確信しています。


詳細レポートでは、クラスター分析を用いて「価格以外のこだわりにより商品・サービスを選択する消費者層」の軸を抽出して消費者を4グループに分け、その中でも特に消費を牽引するグループの特長を分析しています。

メールや電話でのマルチコンタクトの現場であるコンタクトセンターからこの調査結果をどう活かすかを考えた場合、考察にあるような消費者特性のグループごとに対応することはかなり困難です。

こうした観点からも、年代・性別でのグルーピングで特に消費意欲が高く、非価格要素へのこだわりの強い30代以降の女性と、50代以降のシニア層を一つの切り口として、コンタクトセンターでの専任サポートチーム化や専門家へのエスカレーションパスの導入を検討することが良いのではないでしょうか。


シニア向けの携帯電話に続きつい最近は、テレビやパソコンでも商品そのものではなく、携帯電話とテレビ、携帯電話とパソコンをつなげることで生活を豊かに楽しむ使い方を遡及したシニア層を主ターゲットとしたテレビコマーシャルも放映され始めました。それに伴うシニアコンシェルジュのサポート・サービスが次々に立ちあがる日もきっと近いと確信しています。

是非、自センターでも、非価格要素の強い層がどんな属性の層なのかを改めて検証し、その非価格要素の中身と事前期待を見つけ出すオペレーションにチャレンジされては如何でしょうか。

アンケートも結果の数字だけをみるのではなく、その背景や原因を探ったり、考察することがとても大切です。

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