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さんしょの実コラム

第3回 デジタルネイティブが超アナログ世代をサポートする現場

 皆さんの日々の生活を見渡してみてください。Suica、PASMOなどのICカード、お財布携帯などの電子マネー、電子書籍、携帯電話、カーナビ、デジカメ、液晶・プラズマTV、オーディオ・ビデオ機器、家庭電化製品、オール電化住宅、航空・鉄道チケットの購入・チェックイン、ネット決済等々社会のあらゆる分野で凄い勢いで製品やサービスのデジタル化がすすんでいる。


 これらのデジタル製品やサービスがこんなに広範に世の中に拡がったのはほんのここ10年程の間であり、利用者の殆どにとっては、アナログの時代の商品や仕組みに慣れ親しんできている期間の方がはるかに長い。取り分け、60代以降のシニア世代にとっては、電話は長らく有線の黒電話であり、テレビはスイッチを入れれば番組が映りチャネルを廻して選局しながら見るものだったかつての物からは、現在の多機能情報端末へ進化し続ける携帯電話や、3Dが眼鏡なしで見れるハードディスク一体型の最新テレビは、形状や機能・しくみが劇的に変化した最たる生活必需品のひとつと云っても良いであろう。


 こうした便利で快適なデジタルライフを享受できる比較的高額な商品の国内主力購買層といえば、可処分所得の高いシニア層になるため、高度デジタル商品の本来機能や使い方と、主力購買層のユーザーデジタルリテラシーとの乖離の問題が発生しているのである。


 最近発売された電気自動車の購入予約のおよそ6割がシニア層だと先日も関係者から聞いている。ガソリン車とはまったく異なる電子制御製品としての電気自動車のカスタマーサポートをシニア層中心に対応していくのは、これまでの経験が効かないまさに「未知との遭遇」に近いぐらいの違いであろう。カスタマーセンターもフィールドも想定の難しい立ち上げの真っ只中だと推察される。


 こうしたデジタル商品のサポートやカスタマーサービスの現場では、ユーザーとサービス提供者であるデジタル世代のコールセンターのオペレータや店頭担当者とのデジタルリテラシーのギャッップの大きさに加え、世代間の持つコミュニケーションスタイルの違いや加齢に伴うユーザーの理解力不足によって、一件当たりの対応効率がかなり悪くなっているのが実情だ。特に非対面の電話のサポート現場での受電効率の悪化は著しく、商品や内容によっては、一時間以上に及ぶ対応がそれほど稀ではないようなセンターも出ている。


 この様な製品や仕組みそのものがデジタル化で大きく変わっていく商品のお客様接点現場で共通して感じるのは、長時間化による受電効率の悪化や、問題が解決しない(実際はユーザー側の問題で解決できない)クレームが増えていることを「現場の問題」としてこれまでの延長上の対応で改善しようとしていることである。


 ユーザーの年代に関係なく、デジタル商品(製品・サービス)の理解や説明は難しい。まして、物事の理解力や実行力が劣ってくる年代のユーザーにそれぞれの理解力に合せて対応していくことは、言葉遣いを丁寧に、噛み砕いてゆっくり話す等の現場の応対品質だけで改善される域をはるかに超えており、ある意味ではサポートが困難な程の商品とユーザーリテラシーのアンマッチィングが発生しているということである。


 もはや現場の我慢や頑張りだけに頼っていても問題は解決しないのではないだろうか。携帯電話やパソコンでは初心者(実質シニア)に特化した製品が出始めているが、今後はそれ以外のデジタル商品でもそうした特化型製品の投入や、製品だけでなくデジタルリテラシーが低いユーザー向けの特化サービスの開発が待たれる。

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