1. 消費者の声研究所トップ >
  2. さんしょの実コラム >
  3. 第4回

さんしょの実コラム

第4回 「事前期待」に対するマネジメントの重要性

 多くのコンタクトセンターで「(センター業務を通じた)お客様満足(Customer Satisfaction)の向上」がミッションとして掲げられて久しいが、お客さま満足の具体的な中身や「お客さま」の定義が明確に現場に下ろされているセンターは今でも事の他少ない。つまり、「どのような状況のどのようなお客さまに何をすれば顧客満足を高められるのか」こうしたことが具体的に定義されていないということである。


 「顧客満足は、事前期待と実績評価の相関関係で決まる。」つまり、事前期待より実績評価が大きいと、再購入・再利用につながってリピート客化でき、事前期待より実績評価が低いと顧客を失うということであり、このCSの基本的な考え方はかなり理解・浸透してきている。

 しかしながら、実際のCS(顧客満足向上)活動を見てみると、実績評価ばかりを意識して、どうしたらお客さまに喜んでもらえるかばかりを考えがちになっているが、顧客満足を高めるために一番大事なことは、事前期待を把握することである。


 更に云えば、お客さまの事前期待は、「青天井に上がっていく」、「時間の経過と共に高くなる」特性を持っているため、コンタクトセンターの様なサービス提供業務では、事前期待のマネジメントは必須マネジメントアイテムなのだが、このことを正しく理解してCS向上のミッションに対する施策を打てているセンターはまだ少ない。


 例えばカスタマーサービス系のセンターで、CSトークとしてクロージングに、「ご不明なことがありましたらいつでもお気軽に再度お電話ください」を全てのお客さまに均一しているとすると、お客さまのセンターへの依存度合いが高くなり、取扱い説明書代りの再コールや不要な呼量の増加を誘発し、経営からの厳しいコスト管理要求とそぐわない結果になりかねない。

 また、過大な事前期待は妥当な事前期待に、過小な事前期待については妥当な事前期待にまで引き上げてサービスを活性化すべきなのか、それとも敢えて寝た子は起こさないでマネジメントした方が良いのかを、お客さまの特性やセグメントに応じて判断していくことが求められる。


 事前期待の持ち方にはいくつかある。どんなお客さまでも共通する事前期待や、個別の事前期待、製品不具合で急いでいる時と製品購入後の操作学習中の問合せ等状況によって変化する事前期待、思いがけないサービスで感動させられた時などに気づく潜在的な事前期待等で、厳しいコスト削減を求められている現況のセンター環境では、これからは事前期待の持ち方に応じたマネジメントがより重要になってくるはずである。


 多くのセンター現場では、CS向上と業務効率化の二兎をフロントに要求し、個々の指標や目標値を受電件数やCSスコアとして設定しているところは多いが、その二つの指標をどうやって具体的に両立させるのかの紐解きが業務に落とし込まれているセンターはまだまだ少ない。


 事前期待を分類、分解し、どんな顧客タイプ(層)ではどのような事前期待(迅速さ、共感度、正確さ、柔軟さ、安心感、丁寧さ等々)が重要になるのか、要素をどう構成すれば其々の事前期待に沿ったオペレーションを実施できるのかを具体的に定義し、コールフローやコールプロセスとして落とし込んで始めてビジネス(収支管理)視点からのCSマネジメントが運用されていると云える。

お問い合わせはこちらから
お問い合わせはこちらから