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さんしょの実コラム

第5回 サービスコストに対する消費者教育のすすめ

 センターのKPIのひとつにCPC(Cost per Call)がある。以前の右肩上がりの時代のカスタマーサービス系のセンターでは、高い応答率とビジネスマナーなどの応対品質が経営からも最重要視され、1件当たりのコストがどれ位かかっているかを把握していないセンターも多かった。最近の厳しい経済環境や根源的な社会構造変化の渦中になってからは、さすがにセンターとして1件当たりのコストを押さえていないところは殆ど無くなっている。しかしながらその実態は、ライン(電話番号)またはIVR分岐レベルでの捕捉であり、商品別、要件や業務区分別、顧客属性別でのCPCをきちんと押さえているセンターは思いの他少ないことに最近の実務を通じて改めて驚いている。


 販売後の商品サポートや既存顧客のカスタマーサービス系のセンターは今でもどうしてもコストセンターとして見られがちだが、顧客戦略・競業上、かなりのセンターはFDやナビダイヤルを導入しており、一件あたりの通話時間や後処理も含めた時間あたりの処理件数はダイレクトにセンターコストにインパクトを与える。そうした際、センター均一、ライン別CPCのみで、本当に価格交渉の材料や次年度KPIの適切な指標設定が可能になるのだろうか?


 グローバル企業でのCS調査結果等からも、欧米に比べた日本のユーザー要求レベルは明らかに高く、日本のカスタマーサービスの厳しさはつとに有名だ。コールリーズン分析等で音声ログを詳細に聴いていると、「カスタマーサービスは無料が当たり前」の感覚がユーザーにもあるケースが多い。片や、ひとりで一時間近く電話を塞いでしまっていることへの申し訳なさも充分感じていることをそのやり取りから窺うことも多々ある。 個別用件への解決・対応が第一義ではあるが、黙々と用件に回答し時間当たりの処理件数を如何に上げるかにだけフォーカスするのでは抜本的な解決にはならないのではないだろうか。


 FDであれば適切な通話時間やこれ以上解決できないタイミングでの切り方を単に個別応酬話法として検討するだけではなく、「サービス提供には必ずお金がかかっている」という事実、カスタマーセンターの運営には膨大なコストがかかり、最終的には商品価格等に充当されて消費者負担になるということも含めて、ユーザーへの適切なセンター利用の仕方や他ユーザーへの公平性への配慮を、企業として如何にお客様に納得してもらえるかといった消費者教育的な視点も含めたオペレーションの設計が必要なのではないだろうか。


 私事だが先日リフォームした際、同じ製品仕様で依頼したにもかかわらず、数社の見積もりに倍以上の開きがあった。製品調達価格にあまり差がないのに、この金額差の違いが見積もり上では上手く読み取れず、価格選好で依頼した結果、施工を現場任せにして会社としての管理工数を間引きしていた見積もり実態が分かった。結果として、工事遅延やトラブル対応で膨大な時間と労力を要してしまった。自分で見積もり内容を吟味できなかったミスではあるが、サービス提供には全てお金がかかることを肝に銘じた次第である。


 これからの持続可能型社会への変換は、こうした消費者(お客様)と企業(団体)との協働作業や企業活動を正しく理解してもらった上でのオペレーション運用が重要になってくるのではないかと強く実感する昨今である。

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