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さんしょの実コラム

第6回 センターでの‘コンシェルジュ’サービスを考える

 ‘コンシェルジュ’サービスで多くの人が一番に頭に思い浮かぶのは、高級ホテルのコンシェルジュではないだろうか。元々は建物の門番を意味する言葉だったのが、19世紀にホテルの鍵を預かる係に使われるようになり、その後、現在のようにホテルのお客さまの様々な要望に応えるスタッフに使われるようになったようだ。


 `コンシェルジュ‘とは、どんな要求や問合せにも即座に対応し、必要な手立てを判断しそれを実現してくれる。そんなイメージだろうか。 ホテル以外でもそうしたホスピタリティや日本独特の‘おもてなしの心’での感動サービスを目指す場合などに‘コンシェルジュ’が使われたりしている。 最近では、コンタクトセンターのスタッフやサービスの呼称としても‘コンシェルジュ’が使われているケースが出始めている。呼称としてはついてなくても、「お客様の気持ちに寄り添った応対」「お客様との共感性を高める応対」など、特に応対品質に対してコンシェルジュ思想を標榜しているセンターは多い。


 しかしながら、個別顧客の要求・要望に対して都度的確に許容範囲や提供内容を判断し、常に顧客の期待以上に応じていく本来の‘コンシェルジュサービス’がすべてのコンタクトセンターで提供できる訳ではないし、そこには自ずとセンターの設立目的や役割、センターのユーザー対象等によって導入が不向きなセンターも多いはずである。 個別要求にも応える本来のコンシェルジュサービスをセンターユーザーに一律提供できるのは、ブランドが確立されている企業や商品のセンターだったり、「買ってくれる生活者(消費者)だけが顧客ではない」という顧客ロイヤリティに対する独自の考え方・信念を持ってネット通販で成功しているザッポスのような特定の企業に限られてしまう。


 また、非正規雇用がセンターフロントの大半である日本では、個別要求への対応内容を判断できる権限移譲のハードルも高く、コンシェルジュサービス導入の最大の壁になると思える。 こうした中でも、敢えてコンシェルジュ対応のコンタクトセンターへの導入を図る目的は何なのだろうか。それは、センターでのやり取りが強烈な顧客経験(=感動サービス)になって再購入や口コミによるプロモーションにつながる、まさにCEM(Customer Experience Management )の実践そのものだからである。


つまり、コンシェルジュサービスの目的は、突き詰めると「リピート獲得」であり、ファン化した顧客からの「口コミ効果」ということになる。 自ずと対象としては、数年で買い替えが発生し、既存顧客の囲い込みがその業績を大きく左右する商品のセンターや、センターユーザーのなかでも購買力があるシニア層、購買決定に対して非価格要素が強い女性・シニア層などに絞り込めることができれば、実効性が高くなるであろう。 携帯電話やパソコン、特殊な通販などの商品バンドル型のシニアセンターで、`コンシェルジュサービス’がすでにいくつか着手されているので、これらのコンタクトセンターから遠からず成功事例が出てくることが待たれる。

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