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さんしょの実コラム

第8回 「環境変化」と「現実のセンター進化」を考える

 昨今のWebを中心とする先進IT技術の革新とビジネス適用のスピードは凄まじいものがある。 ソーシャルメディア上での顧客対応を実現するソフトが世に出たかと思った途端、携帯電話、Eメール、Webチャット、SNSなどの複数のメディアから入ってくる問合せを効率的に処理(自動分配応答)し、それぞれの顧客に即した音声、Eメール、インスタントメッセージング、SNSなどのマルチチャネルでの応対をひとつのインターフェースでシームレスにコンタクト履歴入力や確認・管理ができるコンタクトセンターアプリケーションソフト、ASPサービスも次々と発売され始めている。


 本誌56号の「最新マーケティングの基礎知識」でも詳細説明されていた「サーチング・マーケティング」や企業と顧客が共同でニーズや課題を発見し、対話しながら一緒になって解決を図っていく「コ・クリエーション(協創)」型の「ソーシャルメディア・マーケティング」の新潮流も、そのコンタクトセンター業務への取り込みを可能とするITインフラやBI(データ解析)分野の製品が急速に整ってきている。 こうした環境変化の中で、コールセンターの多くも、経営戦略型センターへの進化を目指しているのが昨今の大きな流れであり、コンサル企業やITベンダーがそれを後押ししている。


 しかしながら、現実のセンターの多くは、「品質評価」と言いつつそのモニタリングは、言葉遣いや相槌・クロージングトークの有無をチェックするような応対スキルに偏ったセンター立ち上げ時の頃に定義された評価項目のままで、モニタリング自体が目的になってしまっているようなセンターが未だに多い。


 マネジメントレベルでも、CMSを中心とする運用管理のKPIがセンターの管理項目の大半で、センター業績や経営貢献項目がマネジメントKPIやビジネスKPIとして定義され、スパイラルアップでPDCA管理されているセンターは少ない。


 多くのメディアや企業セミナーで、戦略型コンタクトセンターへの進化の方向性を遡及して久しいが、あるべき姿と現場の運用レベルとの乖離は大きく、外部支援で現場管理者や仕事を実際にしている方々の行動変革にまで落とし込むことは極めて難しいのが現実である。こうした乖離がどうしてなかなか埋まらないのだろうか。


 そもそも全てのコールセンターがマルチチャネル型のコンタクトセンターや高度な顧客分析を必要とするのだろうか。企業の中におけるセンターの役割や第一義的な使命(ミッション)によって、必ずしも戦略型マルチセンターに進化する必要のない業務ミッションのセンターもあるはずであるが、こうしたセンター戦略を描き、経営貢献を現場管理に展開する役割の人材が居ないことがその主たる要因ではないだろうか。 コンタクトセンターはシステム上多くのデータが排出されるため、多種多様な結果データに振り回され、そもそもの測定目的が見失なわれがちなこともその一因であろう。


 「ソーシャルメディアが促す企業と消費者との接点変化」といったマクロの環境変化の岐路に立つ今こそ、技術進化やツールに振り回されるのではなく、日々のセンター提供業務(サービス)を、顧客期待に出来るだけ合致させる実需視点からの地に足の着いた個々のセンターの進化レベルやタイミング、例えば、センターサービス提供層がネットを使いたいと思い始めたタイミングでのネット誘導とそのサポート業務プロセスの導入等といった舵取りが重要になってくる。そうした舵取りのできるセンター管理者や役割の人材(欧米センターでのビジネスコントローラー)の育成が今後の鍵になるはずである。


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